Fate/Zero #19の視聴感想です。
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移植。
狩人。
暗殺。
犠牲。
慟哭。
ふざけるなッ!馬鹿野郎ッ!!
■スタッフ
原作:虚淵玄(ニトロプラス)・TYPE-MOON/監督:あおきえい/キャラクター原案:武内崇/キャラクターデザイン:須藤友徳・碇谷敦/色彩設計:千葉絵美/美術監督:衛藤功二/撮影監督:寺尾優一/3D監督:宍戸幸次郎/音楽:梶浦由記/アニメーション制作:ufotable
■キャスト
衛宮切嗣:小山力也/セイバー:川澄綾子/アイリスフィール:大原さやか/遠坂時臣:速水奨/アーチャー:関智一/言峰綺礼:中田譲治/アサシン:阿部彬名/ケイネス・エルメロイ・アーチボルト:山崎たくみ/ランサー:緑川光/ウェイバー・ベルベット:浪川大輔/ライダー:大塚明夫/雨生龍之介:石田彰/キャスター:鶴岡聡/間桐雁夜:新垣樽助/バーサーカー:置鮎龍太郎
■OP&ED
OP:『to the beginning』Kalafina
ED:『空は高く風は歌う』春奈るな
■公式
Fate/Zero-アニメ公式サイト- / twitter #fatezero
■アバン
移植された刻印の痛み。それはきっと魔術師の業なのでしょう。
ところでこの刻印の出所ですが、魔術協会に回収された矩賢の死体から利用価値のない残り滓を譲り受けたはず。
そして、以前語られた切嗣の名が表す起源『切断と結合』のこと。
切って嗣なぐという不可逆の変化を齎すピッタリの礼装『起源弾』の授与。
その効果は、魔術回路を励起させたケイネスが身をもって証明してくれましたよね(汗
切嗣は“魔術師”となり、目的ではなくただの手段として活用していく。
ナタリアの有能な助手としてターゲットを、待ち伏せ、追い詰め、狙いを定め、的確に撃ち抜いていく。
それにしても……見た目はまだ少年っぽさが残っているのに、声がコレだとギャップが!!(笑
■Aパート
やはりあの日の出来事は心の傷として深く刻まれているんですね。
切嗣は結局ナタリアの元で数年過ごし、狩人として武器の扱いを覚え“業”を学びとっていったようです。
ナタリア自身が島で簡単に語ったように、魔術協会と聖堂教会の闘争の狭間でフリーランスとして糧を得ているのですね。
画でどんな生活だったのか見せてくれてます。
まだ、タマゴとも言えない切嗣は足手纏いとばかりに置いてけ堀(笑
まぁ目隠ししても組み立てられるくらいにならないとね(ぉ
努力してる切嗣の姿にナタリアも笑みを零したり何処か楽しそうでもあります。
銃の分解・組立が出来るようになった頃、やっと同行を赦されるようになったようですね。
でもそこはまるで地獄のありさま。あの日の島での惨劇は、世界から見れば日常茶飯事という現実。
殺して、殺して、殺して、殺して、コロシテ、イキノビテ……
マモリタイ、マモレナイ、シナセテ、イキノビテ……
「セイギノミカタにでもなるつもりか?」
心の奥を抉るような、残酷であり、されど正鵠を射るナタリアのその問い。
切嗣が自ら背負った“父親殺し”という十字架は意味のないモノだったのか。犠牲を増やさない為の行動だったのに。
「一人やったくらいじゃ無理な相談だね。
今回のような連中を世界中から全て殺し尽くす。そんなコトをもし出来たら叶うかもしれんが。
……冗談だ。本気にするな」
空を仰いだ切嗣に、ナタリアは本気なのだときっと察したのだと思います。この坊やは無理だと承知で、本気で望み願い叶えようとしていると。
彼女ももしかしたら望み今に至ったからこそ、慌てて冗談としたのではないかと。でないとその先にあるのは地獄だと知っていたから。
ナタリアが掲げた信条は『生き残る』こと。
この稼業で生きてきたからこそ辿り着いた真実のひとつなのでしょう。
これが島を出るときにナタリアが教えた最初の教訓なんですね。
そして、ある日届いた『魔蜂使い』というふたつ名を持つオッド・ボルザーグ殺害依頼。
蜂を使役し人を死徒と化す。丸ごと街を捲き込む被害を出すほどの厄介な相手。
タバコを初めて切嗣が吸ったのは、グールを生み出す相手に島の惨劇が過ぎったからか……
ナタリアはパリからボルザーグを追い、切嗣はニューヨークで仲間の始末をつける!
客室には蜂は持ち込めないので取り逃す心配はない……って、切嗣も軽口を叩けるほどの腕になったんですね(ぉ
ナタリアは、ボルザーグの後ろに席を取り、血印を描きアッサリ始末(ぇ
切嗣も滞りなく狙撃準備をし、狙い、撃つ!呆気ないほどにミッション終了!
ナタリアは、貨物室に持ち込んだ蜂も始末し、切嗣と着陸後の段取りを確認するが……
ソコには蜂が飛びCAがグールと化している!蜂をとり逃してしまったのか!?
■Bパート
既に客室は蜂とグールで溢れかえっている!ボルザーグは体内に蜂を仕込んでいたらしい。
コックピットも襲われ脱出手段の無いナタリアは、信条のままにボルザーグの死体を担いで『生きて帰る』と。
切嗣も「ナタリアならできるさ」と軽口で答えるけれど……難しいことだと二人とも分かっているでしょうね。
互いに準備を整えた徹夜明け。
ナタリアからまずは良い知らせから……
まだ生きていること。コクピットに辿り着いたこと。通信機を修理し管制と連絡が着いたこと。
そして悪い知らせは……
全員がグールと化し生き残りはナタリアだけだということ。その意味は……(残酷
「それは心配しなくてもこっちで手を打ってあるよ」
一瞬表情を変えたナタリアは、切嗣がしようとしていることを察して覚悟したでしょうね。
そして沖合いに出た切嗣は、ナタリアにしようとしていることの覚悟しているでしょう。
だから……
切嗣とナタリアの会話が哀しくて……
自分と同じ狩人という道を選んだ切嗣の天賦の才。
『指先を心と切り離して動かす』
父親殺しの際見せたそれは、数年がかりで身につける覚悟なのに。
“何をしたいか”ではなく“何をすべきか”で選んだ道は人の生き方と外れたものになる。
切嗣へのナタリアの心情は他人ではないですよね。それはもう……
ナタリアがもし冷たい人だったら切嗣は何処にでもいる傭兵になっていたかもしれないですネ。
でもそうではなかった。いつだって厳しく、本気で、切嗣に接していた。きっと父か母かは些細なことで、紛れもなく親であったことは間違いないこと。
「僕も…僕もアンタのことをまるで母親みたいに思っていた」
ナタリアも切嗣も秘めた想いを伝え合い、家族であると確認したというのに……
どんなに冗談っぽく繕ってもそれが本心で、そしてもう最期であると感じずにはいられない!
切嗣は手に入れた武器を背負い…標的を狙う!
「あんたは――僕の、本当の家族だ」
放たれたミサイルは旅客機へと向かい……
ナタリアと過ごした日々が切嗣の脳裏を過ぎっていく!
撃墜された旅客機は炎に包まれ海の藻屑と消えていく……
厄災を封じ込めるただひとつの方法を的確に実行しただけ……
死の瞬間、ナタリアは微笑んでいて……
幾ら暇潰しとはいえ、あんな話を始めたナタリアは本当に着陸し生還つもりでいたのだろうか……
きっと、切嗣の覚悟を察し、決意を信じて、不肖の弟子が息子が確実に狙える位置まで飛ばすことを義務としたのではないのか……
多くの人を救いたいと願っていた切嗣に、全員を救えないと理解していた切嗣に、多くを託したのではないのか……?
「見ていてくれたかいシャーレイ。
今度もまた殺したよ。父さんと同じように殺したよ。キミの時みたいなヘマはしなかった。僕は大勢の人を救ったよ。
ナタリアが着陸に成功してしまったら、どれだけの死人が出るか…分からない……」
壊れた……
愛するシャーレイを、尊敬していた父親を、慕ったナタリアを……
最小の犠牲の下に多くの命を救うために…命に差をつけず均等に……
最愛の者達の命を教訓としてしまったのだから、もう命に差なんて付けられるはずもない……
「フザケルなフザケルなバカヤロウ!!」
絶叫……それは怒りか哀しみか……それとも………
「ケリィはさ、どんな大人になりたいの?」
顔を上げた切嗣にもう涙はない。喜びも悲しみも遥か遠くに……
シャーレイに伝えられなかった夢。ナタリアが問い掛けた姿。
遥か蒼穹の彼方に夢見るその姿は――
――セイギノミカタ
┛┛┛┛┛┛┛┛┛┛
ヤヴァイです。画面が滲んで仕方ない……
なんだろうこの込上げてくる複雑な想いは……
短く感じる30分の後に、処理しきれない想いの30分があるのです。
で。
上にもイロイロ書いたので簡単に纏めたいところ(ぉ
時間かけてられない事情があるんだけどね(笑
ということで。
前回切嗣は“多数を救うために少数を切り捨てること”を身をもって知る事となりました。
そして今回はそれを自らの手で実行することになりました。またもや大切な人を犠牲としながら……
ナタリアは間違いなく切嗣の“母親”でした。
切嗣に本気で厳しく接していたことも、一生懸命な切嗣の姿に笑みを零しちゃうとこも、真剣な切嗣に折れちゃうところも、そして切嗣の道行きを心配してしまうところも。
ナタリアはきっと切嗣は本気で“セイギノミカタ”を求めていると感じていたのでしょう。
そして、理想ではなく現実的な方法を提示してきたのではないか思います。初めての教えである信条を切嗣が生き残る為の保険にして。
ナタリアが狩人として闘争に身を投じた理由は分かりませんが、彼女の中にも切嗣に通じる部分というのがあったと思うのです。
現実の中で無視し捨て折り合いをつけてきた憤りや理不尽さに対する想いが刺激されてしまったのではないかと……
そんな中で起きたこの事件。
ナタリアの信条は方便だけでなく本気だったと思うのですが、その状況からの道は限りなくひとつであることも理解していたでしょう。
だからこそ冗談交じりとはいえ赤裸々に本音を語ったのだと思います。そして同時に、師としての卒業試験であり、親としての親離れ子離れの機会となったのではないかなぁ。
切嗣が最良の方法を選択し『指先を心と切り離して動かす』と信じて……
だから最期に微笑んだのではないかと。自慢の息子はこれからも最期の選択を決して違わないと確信して。
これが傍から見ると『外道』であり、その実『正義』を成そうとするテロリスト“魔術師殺し”衛宮切嗣の信じがたい実像なのですよね。
たしか時臣もこの事件の表向きの情報は入手していましたね。彼はこの真相を知っていたら切嗣への評価をどう下したのでしょう。危険視したのでしょうか?(苦笑
書いていると何処までも書けそうなので意識的に止めます(ぉ
最期に。
シャーレイにしても、ナタリアにしても、アイリにしても、舞弥にしても。
切嗣の理解者となった女性達は果てない夢を共に見続けられる人たちですネ。
そして…みんな最期は……(哀
追記。
そっか…放送日が母の日か……
狙ったのか偶然かわからないけど、なんという皮肉かっ!