
Fate/Zero #16の視聴感想です。
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褒賞。
拉致。
決闘。
誓約。
詐欺。
本心。
正義で世界は救えない――
■スタッフ
原作:虚淵玄(ニトロプラス)・TYPE-MOON/監督:あおきえい/キャラクター原案:武内崇/キャラクターデザイン:須藤友徳・碇谷敦/色彩設計:千葉絵美/美術監督:衛藤功二/撮影監督:寺尾優一/3D監督:宍戸幸次郎/音楽:梶浦由記/アニメーション制作:ufotable
■キャスト
衛宮切嗣:小山力也/セイバー:川澄綾子/アイリスフィール:大原さやか/遠坂時臣:速水奨/アーチャー:関智一/言峰綺礼:中田譲治/アサシン:阿部彬名/ケイネス・エルメロイ・アーチボルト:山崎たくみ/ランサー:緑川光/ウェイバー・ベルベット:浪川大輔/ライダー:大塚明夫/雨生龍之介:石田彰/キャスター:鶴岡聡/間桐雁夜:新垣樽助/バーサーカー:置鮎龍太郎
■OP&ED
OP:『to the beginning』Kalafina
ED:『空は高く風は歌う』春奈るな
■公式
Fate/Zero-アニメ公式サイト- / twitter #fatezero

■アバン
何故ケイネスが聖堂教会に!?
久しぶりの出番だというのに、相変わらず嫌味が冴え渡っておりますなぁ(ぉ
申告?討伐の褒賞??何故貴様がソレを要求するかっ!!!
ケイネスに権利があるならあの場に居た総てのマスターが主張できるよね。
……敢えて求める人物は居ないだろうけどさ(笑

■Aパート
遠くの戦いの終焉を見定めソラウは安堵の表情を浮かべております。
戦いに勝利したことで令呪の一画を得、愛しのディルムッドとの繋がりが“完全”なモノと足りえるのだから。
しかしその悦びも束の間!令呪を宿した右腕が斬り落とされる!?……なんという鮮やかな舞弥の腕前か!!
ソラウの錯乱は腕を失ったことよりもランサーとの“繋がりの証”を断たれたことでしょうね。
舞弥は全く持って事務的に切嗣へ報告し、ソラウを確保、ランサーが戻る前にその場を離れることに。
綺礼はまだ自分の心の動きをまだ理解していないようです。
師・時臣への謀反であり、後悔どころか高揚を懐いたことへの疑問も……
いや……もう既に察しているのに敢えて眼を背けているフリをしているだけなんでしょうが……(ぇ
璃正はケイネスの進言を認めつつも、マスターとしての特殊な立場に令呪進呈を渋っております。
まぁキャスター討伐は本来、時臣にのみ新たな一画を授ける為の渡りに船な策だったのだからねぇ(苦笑
とはいえ下手に勘繰られてもアレなのかケイネスの口八丁に乗っちゃいましたぁ(えー
璃正の腕には多くの令呪が刻まれていて……整然と並んでいるんですね。未使用令呪が乱雑に刻まれているとばっかり思ってました(ぉ
移譲の儀式により新たな令呪一画が贈与されたケイネスが背を向けたとき……銃声?!
その瞬間倒れこむ璃正……まさかケイネスが撃ったのか?あの生粋の魔術師が銃を!?(唖然
魔術を使えぬ身体になったこと、そして他への令呪獲得を防ぐ為とはいえ……かなり精神的に追い詰められてますね。
アジトの廃工場に戻れば、齎されたのはソラウかどわかしの報告!
ケイネスの罵倒はただの嫉妬にしか聞こえないわけだけど、ランサーの落ち度も否定できないのが痛いですネ。
ランサーの言葉はどんなに正当性があろうともケイネスには言い訳にしか聞こえないので、口を開けば開くほど神経逆撫でするだけなんです。
それにしても……
某騎士王なんぞより騎士の鑑のディルムッド・オディナへの侮辱は聞くに堪えませんね。
ケダモノ、傀儡、亡者、くぐつ……どれだけ英霊の座に名を連ねる者を辱めるんだろうか……(怒

その時、罵倒に耐えるランサーは近付く気配を察知し排除に向うと、近付いてきたのはアイリとセイバーでした。
ムカつくケイネスの暴言を止めてくれたことに最大限の感謝を!ありがとう!!(笑
ここを嗅ぎつけたことでソラウ誘拐をランサーは一瞬疑ったようですね。
でも正直者のセイバーを下手に勘繰ったことに恥を覚えたみたいです。やっぱ騎士だよディルムッドは。
少し言い澱んだセイバーの返答も切嗣への微妙な葛藤が垣間見えますけどね。
真正面からの決着を望むなら全員が消耗しているこの夜のみ!
ディルムッドの拠り所は最大のライバルであるセイバーだけというのは悲しいですよね。
己の得物を構え激突するセイバーとランサー!
しかしセイバーの剣戟は思うより軽く、それはランサーに左手を使っていないことを気付かせる。
ただ一人の騎士同士の戦いならセイバーのこの覚悟は当然といえるでしょう。なにせこれまでセイバーはランサーに借りっぱなしなんだから(ぉ
「……騎士王の剣に誉れあれ。俺はおまえと出会えて良かった」
ただそれだけがこの聖杯戦争に現界したディルムッド・オディナ唯一の救い!
故に正々堂々騎士の誇りを懸けて斬り結ぶ!!
最高の好敵手との手合わせにふたりとも喜びが溢れていますね。何の縛りも駆け引きもなく戦って欲しかったですよね……
……でもこれ戦争なのよね!(ぉ

■Bパート
自らはボロボロとなり、サーヴァントの槍は届かない……
確実に勝てないなら逃げるべきと、気が付けば負け犬根性にどっぷり使っちゃったロード・エルメロイのお姿です(ぉ
身を隠していた足元に転がったの銃弾の音に振り返るとそこには血に塗れたソラウの姿が!
そしてもう一人……魔術師殺し・衛宮切嗣!銃口をソラウに向けながら投げ渡したモノは……
誇り高き騎士同士の戦いは続く。
華麗に…優雅に……火花を散らす!!
それはセルフギアス・スクロール(自己強制証文)。
命を懸けるどころか死後の魂までも束縛するほどの違約しようのない呪術契約。魔術師としての最大譲歩の証明。
その誓約内容は――
衛宮切嗣にに対し、ケイネス・エルメロイ・アーチボルトとソラウ・ヌザァレ・ソファリへの傷害・殺害を永久に禁止する
――というもの。どうやら命の補償をするということのようですね。
しかし、その為の条件はロード・エルメロイと称された誇りを地に落とし聖杯も諦めるということらしく……
悩めるケイネスに時間はない!銃口はソラウに向い選択の余地もない!!

……鮮血!
ランサーを穿ったのは己の業を懸けた紅き槍。
まさかの事態に凍りつく時間。高潔なる騎士の戦いは泥を塗られ踏み躙られる!!(呆然
『残る令呪の全てを費やして、サーヴァントを自決させる』
それが切嗣がケイネスに提示した誓約の交換条件。偶然も感情も入り込む余地のない確実な勝利ですね(汗
騎士として望んだたった一つの最低限の誇りさえも奪われたランサーの絶望は如何程か!!
「赦さん……断じて貴様等を赦さんッ!名利に憑かれ、騎士の誇りを貶めた亡者ども……その夢を我が血で穢すがいい!聖杯に呪いあれ!その願望に災いあれ!いつか地獄の釜に落ちながら、このディルムッドの怒りを思い出せ!」
理想を体現したような騎士が怨嗟を叫びながら消えていく……
血の涙を流し、世界を呪い、怨念に吼えながら悪霊のような姿で……
涼風と誉れと讃えた騎士王さえも裏切り者と誤解し蔑み呪いながら……
これが最高の騎士輝ける貌ディルムッド・オディナの最期だなんて(哀(呆然
条件は満たされ誓約は実行される。もう切嗣“が”殺すことは出来ない。
ケイネスが安心したのも束の間に銃声が轟く!ソレは舞弥が放った凶弾!!
そう……切嗣が殺せないなら別の者が手を下せばいいこと。切嗣さんマジ外道!!(汗
魔術師としての全てと引換に愛を貫き生にしがみついたというのに!!!
ソラウは絶命し、虫の息のケイネスが死を望んでも切嗣には殺せない……そういう契約なのだから!(激汗
見るに見かねてトドメを差したのはセイバーでした……

「今ようやく、貴様を外道と理解した」
セイバーでなくともこの仕打ちはそう判断するでしょうね。そしてアイリという緩衝材でもどうしようもない怒りに包まれたことでしょう。
さすがにアイリも説明を求めますが、切嗣はあくまでもセイバーを無視するようにアイリに向かって話すのみ。
ケイネスとソラウを殺した理由は聖杯戦争のシステム上論理的なものですが、その方法がこれでは納得できるはずもないですね。
激昂するセイバーに半ば無視を貫きつつもあくまでもアイリにという姿勢で淡々と切嗣は語りはじめる。
「栄光だの名誉だの、そんなものを嬉々としてもてはやす殺人者」
「戦いの手段に正邪があると説き、さも戦場に尊いものがあるかのように演出してみせる」
「武勇だの名誉だのに誘惑されて、血を流して死んでいった」
「あれは正真正銘の地獄だ。戦場に希望なんてない。あるのは掛け値なしの絶望だけ」
「勇猛果敢な英雄サマが、華やかな武勇譚で人々の目を眩ませ」
出るわ出るわ切継の内にある底知れぬ憤怒が絶望が!あまりにも重い言葉の数々が!!
理想だけを高らかに唱えるセイバーの言葉は軽く感じて仕方がない。全く響かないものね(ぉ
そして、その戦いの功績は敵国の夥しい血と仲間の犠牲の上に築かれているのだから……
切嗣は『英霊』に対する憎しみを否定はせず、しかし公私混同をしているわけでもない。
ただ聖杯戦争を勝ち抜くために確実に障害を排除していっただけのこと。
「正義で世界は救えない」
セイバーは初めて切嗣の本心に触れることができたのでしょう。
切嗣の中にあったのは正義への絶望。だからこそかつての“渇望”を察したのかもしれません。
そこを指摘したセイバーに切嗣は大きく表情を変えたのだから……
「若き日の本当の貴方は『正義の味方』になりたかったはずだ。世界を救う英雄を、誰よりも信じて、求め欲していたはずだ。――違うか?」
そして、正義を求めた悪の連鎖の先にはあるものはやはり怒りと憎しみの争いなのか……
「例えこの世の全ての悪を担うことになろうとも――構わないさ。それで世界が救えるのなら、僕は喜んでそれを受け入れる」
それともちっぽけな男の悲壮なる決意が悪を担い贄となり平和を齎すのか……
なんにしろ聖杯に託すような願いは大きく歪んでいることであるはず。それが、誰もが追い求める理想であっても――
切嗣が舞弥の車に乗り込みその場を去ると……
まるで力尽きるように崩れ落ちるアイリ……!?
切嗣に不調を悟られないように我慢していたようですが……
何故アイリが不調に陥ったのか……?それは……!!

■アイキャッチ
憐れな最期のロード・エメルロイと怨嗟に吼えたランサーでした。
┛┛┛┛┛┛┛┛┛┛
今回もあまりに濃すぎる30分でしたね。
ランサー陣営も遂に陥落となってしまいました。
セイバーとランサーの高潔なる騎士対決……と見せかけて切嗣の独壇場でした(ぉ
別の側面での魔術師殺しの真骨頂を見せてくれましたよ。まったくなんて詐欺師だよ!(汗
魔術師として永劫の呪いともいえるセルフギアス・スクロールさえも利用して完全無欠のランサー排除を目論むなんて!!
でもある意味切嗣的によくよく考えれば至極真っ当な方法だったかもと思えなくもないですけどね。
思いっきり割を食ったというか可哀想だったのはディルムッドですが……
結局ディルムッドが納得して戦えたのって、森での海魔殲滅戦だけですか?(ぇ
あと未遠川狂戦士戦闘機排除の援護戦闘か……(ちょ
高潔なる騎士の印象も最期の怨嗟でガタガタになった気もするし……
日常ではケイネスにボロクソ言われてた記憶しかないし……
思い返せば思い返すほどにすごく憐れな役回りだったなぁって(ぉ
そのケイネスも婚約者のソラウも結局のところ英霊のマスターとしての器ではなかった感じですね。
魔術師としては天才で、名門に恥じないのでしょうが、あまりに我が強すぎて己にしか目が行かず、利に奔り、自滅した印象です。
最終的にソラウはヤンデレで、ロード・エルメロイは負け犬根性に成り下がりましたからね……(酷
おっと。切嗣に話を戻しましょう。
初めてセイバーに対し自分の口で本心を垣間見せることになったわけですが。
あの絶望を懐いていた切嗣に、これまで遥かな理想を掲げたセイバーの言葉が届くはずもないわけです。
しかし切嗣の想いが、希望を懐き正義を追い求めたが果てに絶望に至りただひとつ見出せた手法であったとセイバーは理解したように思えます。
悪である事を是とし、外道であることも是とし、それでも心の奥で求めるものは正義である矛盾。
この切嗣の姿に、全てを無かったこととし故国救国を願うセイバーは何を思うのか……
まぁよく考えて欲しいところですが、アイリが倒れてしまいました。
これではセイバーさんも深く考える暇もないでしょうね(ぉ
でも少なくとも自分のマスターとして相応しいかどうかは結論付けられたのではないでしょうか……たぶん(ぉ